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"より大きな善のために" —ゲラート・グリンデルバルドのモットー [出典]
ゲラート・グリンデルバルド(1883年~1998年3月)とはトム・リドルの出現まで史上最強かつ最も危険とされた闇の魔法使いであり、純血あるいは半純血の魔法族である。ダームストラング専門学校の生徒であったが歪んだ闇の実験と他の生徒を攻撃して致命傷を負わせたことにより放校処分を受けた。
彼はやがて若き日のアルバス・ダンブルドアと友情を育み(ふたりはのちに血の誓いを立てた)、ふたりで死の秘宝の捜索と、国際魔法使い機密保持法を終わらせて賢く強力な魔女や魔法使いたちがマグルを支配する大いなる善による階級世界を創るための魔法界革命を計画した。17歳の時、ふたりとダンブルドアの弟アバーフォースが3人で決闘を行い結果としてダンブルドア兄弟の妹アリアナが死亡したことにより友情は途絶えてしまった。グリンデルバルドはイギリスを離れ、マイキュー・グレゴロビッチからニワトコの杖を盗みダンブルドアとふたりで考えた革命をひとりで目指し続けた。
グリンデルバルドは高い理想と能力を備えた複雑な人物であり目的のためならいかなる犠牲も厭わなかった。法を無視した革命を遂行するため、彼とその部下たちは複数の殺人を含む数え切れないほどの犯罪行為を実行した。アメリカ合衆国とヨーロッパ両方で暴力行為を行なったグリンデルバルドはやがてオーストリアに要塞ヌルメンガード城を建設した。1945年、グリンデルバルドの権力の最盛期、ダンブルドアが立ち上がり伝説的な決闘の末にグリンデルバルドを打ち倒した。彼はそのまま自身の要塞に幽閉され数十年を過ごし、1998年にニワトコの杖の場所を教えることを拒んでヴォルデモート卿に殺害された。
経歴
生い立ち
"しかし、ゲラート・グリンデルバルドの場合は、その能力を賞や栄誉を受けることに向けず、別の目的の追求に没頭していた。十六歳にして、もはやダームストラング校でさえ、その歪んだ試みを見捨ててはおけなくなり、ゲラート・グリンデルバルドは放校処分になった" —リータ・スキーター著「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」 [出典]
ゲラート・グリンデルバルドは1883年ごろに誕生した。ダームストラング専門学校で教育を受けた彼はあらゆる魔術の分野に秀で、力を追い求める闇の魔術に通じる校風に魅了されていった。彼は魅力と愛嬌を備えた人格をしており「陽気で奔放」な人柄であった。
歴史、伝承、魔法の遺物の神秘性に強い興味を持ったグリンデルバルドは死の秘宝を渇望するようになり、そのルーン語のシンボルを自分自身のエンブレムとして取り入れるほどになり、放校処分を受ける前にそれをダームストラングの壁に刻み込んだ。こうした刻み文字はそれから何世代もの間残り続けた。リータ・スキーターによる『アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘』によれば、16歳のときに行った「歪んだ実験行為」が、グリンデルバルドが卒業前に放校処分を受けた理由であるという。この学校は闇の魔術に対してかなり寛容で有名であることから、グリンデルバルドが彼らにさえ許容されない実験を行ったことは非常に不吉で恐るべき兆候であると言える。
ダンブルドアとの友情
"もちろん、グリンデルバルドのやつは、急いでずらかった。自国で前科のあるやつだから、アリアナのことまで自分の咎にされたくなかったんだ" —アバーフォース・ダンブルドア [出典]
ダームストラングから放校処分を受けたグリンデルバルドは権力と情報を得るための探索を行い、死の透明マントを最初に所有したとされるイグノタス・ペベレルが埋葬されているイングランド、ゴドリックの谷に行き着いた。運の良いことに、グリンデルバルドの大おばにして著名な魔法史学者バチルダ・バグショットがここに住んでおり、彼に本、書類の宝庫に加え最低限の干渉という理想的な住処を提供した。ゲラートがゴドリックの谷でアルバス・ダンブルドアと知り合い友人となったのは1899年の夏のことであった。このふたりのティーンエイジャーには多くの共通点があった。ふたりはともに頭脳明晰で優秀な魔法使いであり理想主義者で野心家でもあった。グリンデルバルドとダンブルドアはともに過ごした2ヶ月間の間に恋愛関係を築いた。のちにダンブルドアが「2ヶ月間の狂気」と表現した時期にふたりはお互いの思想、力そしてその日からの運命を形成し合い、その運命は複雑に結びついていくのであった。バチルダ・バグショットの家に滞在している間、ふたりは互いを相手に戦うことはしないと血の誓いを立てた。
ふたりはある目標を持っていた。まず第一に死の秘宝を捜索して3つすべてを入手して死を制する者となることで、ふたりはそうすれば不死身かつ無敵になれると信じていた。ふたりはまた、国際魔法使い機密保持法を覆し、賢く強力な魔法使いや魔女がマグルを含む世界中を大いなる善意により支配する新秩序の確立も夢見ていた。ダンブルドアは目的を達成するために必要となる実力行使を正当化するためのフレーズ「より大きな善のために」を思いつき、グリンデルバルドはこれをのちに自身のスローガンにした。
しかしながら、ダンブルドアの動機や理由はグリンデルバルドのそれとは異なっていた。若き日のダンブルドアは無力であったが故に妹アリアナをマグルの少年たちの攻撃から守ることができず、その結果として心優しかったアリアナは感情を制御できなくなり抑圧された魔力が周囲の人間を危険にさらすほど不安定になってしまっていたのであった。少年たちに復讐したことでダンブルドアの父親はアズカバンに投獄され、母親はアリアナの引き起こした事故により死亡していた。アルバスは愛する者たち(そして世界も)を残虐さやマグルたちが見せたような排他性から守るために力を欲していた。彼は蘇りの石を、両親を生き返らせるための手段として見ており家族への責任からの解放を求めていたが、グリンデルバルドは石を亡者の軍団を構築するための道具と見なしていた。
ゴドリックの谷を離れて力を手に入れ革命を起こすという友人同士の計画は深刻さを増した。ダンブルドアの弟アバーフォースが計画に気づくと彼はアルバスの野心を心配すると同時に、アリアナの安定を保つために必要な保護と注意を与えるためにアバーフォースとアリアナもアルバスについて旅をしなければならなくなると知って嫌悪を覚えた。緊張状態はついに対立へと悪化し、激怒したグリンデルバルドはアバーフォースに磔の呪いを使った。アルバスが弟を守るために立ち向かうと3人の間で決闘が巻き起こり、アリアナが死んでしまった。アリアナの死の責任を負ったと思われるグリンデルバルドはイギリスを離れ、これ以降は法に縛られることなく1945年まで闇の革命を目指して突き進んでいった。
闇の力の勃興
"「歴史上最も危険な闇の魔法使い」のリストでは、一世代後に出現した「例のあの人」に王座を奪われなければ、トップの座に君臨していたと言えよう" —「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」の説明文 [出典]
グリンデルバルドは死の秘宝捜索を再開しニワトコの杖の位置を突き止めた。有名な杖作りであるマイキュー・グレゴロビッチがニワトコの杖を所有しておりその能力を複製しようとしているという噂が広まっていたためであった。グリンデルバルドはグレゴロビッチの仕事場に侵入し、彼が来るのを待って失神させ杖を奪うことで杖の新たな主人となった。伝説において、ニワトコの杖は前の所有者を殺害することで主人になれると言われていたが、グリンデルバルドは失神させて杖の忠誠心を奪うという当時ではほとんど知られていない珍しい方法をとっている。
国際的な捜索活動
ニワトコの杖を手に入れたグリンデルバルドは従者の軍隊を形成し始めた。最終的に彼と彼の「狂信者」の軍団はヨーロッパで何度も壊滅的な打撃を与え大量虐殺を引き起こして世界中の魔法界当局から注目を集めた。襲撃のうちいくつかはマグル界にも注目され、魔法界が見つかって戦争を引き起こしかねないリスクを冒した。グリンデルバルドの犯罪行為に対して国際的な捜査網が組まれその進捗は「日刊予言者新聞」や「ニューヨーク・ゴースト」のような新聞で報じられた。
あるとき、グリンデルバルドは逮捕寸前まで追い詰められたが追跡者の手を振り切って姿を消した。アメリカ合衆国魔法議会(マクーザ)のであるセラフィーナ・ピッカリーはのちに、グリンデルバルド逃亡の責任はこの闇の魔法使いが「指の間をすり抜ける」ことを許したハインリヒ・エバスタッドの責任であると話した。グリンデルバルドはまた、オーストリアに敵対者を閉じ込めておくためのヌルメンガード城を建設した。この時期彼は自ら手を下して複数の人物を殺害したことで知られている。ビクトール・クラムの祖父も犠牲者のうちのひとりに数えられる。
力が増すに連れ、グリンデルバルドはいずれ必ず起きるであろう対決についての計画を立てた。その対決の相手とはかつての親友であり、世界で唯一グリンデルバルドを阻止できるだけの能力を持つとされる人物、アルバス・ダンブルドアであった。魔法界の誰も知らなかったことであるが、若いころに立てた血の誓いの効力によりダンブルドアもグリンデルバルドもお互いを相手に直接戦うことはできないのであった。しかしながら、グリンデルバルドは直接戦わずともダンブルドアが計画を妨害するだけの能力を持っていることに気づいており、従者にもはっきりと伝えていた。対決せずにダンブルドアを倒す方法を探った結果、グリンデルバルドは非常に強力なオブスキュリアルがニューヨークを恐怖に陥れているビジョンを見た。自分以外にダンブルドアを殺すことができるのはそれほどまでに力を持つオブスキュリアルしかいないと気づいたグリンデルバルドは、力を持つ子どもを見つけるためヨーロッパを離れてアメリカに向かったのであった。
グリンデルバルドの失踪は魔法界のあらゆる新聞に懸念をもたらした。新聞界はこの闇の魔法使いに関するニュースがないことに不安を感じていたのであった。彼は1926年11月20日以前にブラチスラバで姿を目撃されたと言われている。
パーシバル・グレイブスへの偽装
"その法律のせいで、我々はドブネズミのようにコソコソと本当の自分を押し殺して生きねばならない。正体を知られないようにと、常にビクビク怯えていなければならない。ひとつお聞きしたい、議長。皆に聞きたい。誰を守るための法だ?我々か?彼らか?俺はもう従えないね" —国際魔法使い機密保持法についてグリンデルバルド [出典]
1926年12月、ピッカリーは知るよしもなかったが、グリンデルバルドは彼女の右腕であるパーシバル・グレイブスを押さえ、彼にに姿を変え身分を奪うことですでにマクーザに潜入していた。グリンデルバルドはニューヨークで起きている謎の襲撃は力を持つオブスキュリアルの仕業であると信じており、世界征服計画の大きな助けとなるであろうその武器を探していた。グレイブスの姿をしたグリンデルバルドは、目にしたビジョンを頼りにオブスキュリアルと近い関係にあると思われるクリーデンス・ベアボーンと頻繁に接触した。クリーデンスを孤児のスクイブであると考えたグリンデルバルドは優しい言葉をかけて彼を巧みに操り、虐待的な養母から守って魔術を教えると約束してオブスキュリアル捜索に協力させた。
この時期、グリンデルバルド(グレイブスとして)はニュート・スキャマンダーを逮捕した。マクーザはオブスキュリアルではなくスキャマンダーが逃がしてしまった動物こそが襲撃の原因であると信じていた。ニュートを尋問したグリンデルバルドは彼のスーツケースの中でオブスキュラスを発見し、痕跡を隠すためにスキャマンダーとティナ・ゴールドスタインの死刑を宣告した。その後、メアリー・ルー・ベアボーンがオブスキュリアルに殺害されるとグリンデルバルドはクリーデンスの義妹モデスティこそが探していた子どもであると確信しクリーデンスに後を追わせた。モデスティを見つけたグリンデルバルドはもう用済みになったクリーデンスを冷たく突き放した。これに激怒したクリーデンスは力を解放して自らがオブスキュリアルであることを見せグリンデルバルドを驚かせた。それまで10歳以上生きたオブスキュリアルは確認されておらずクリーデンスはそれより15歳も年上だったのである。
グリンデルバルドはクリーデンス使って北アメリカの魔法界を脅威にさらしダンブルドアに対する武器を作ろうとしていた。彼はもう何も恐れる必要はないと仲間に加わるよう説得を試みたがこれがクリーデンスをさらに怒らせ街中を破壊し始めてしまった。しかし簡単に諦めるグリンデルバルドではなくなおもクリーデンスを仲間に加えようとしていたところ、ティナとニュートに出くわした。彼にとってふたりを圧倒するのは容易なことであった。グリンデルバルド、ティナ、ニュートがようやくクリーデンスを落ち着かせることに成功するとピッカリーと闇祓いたちが登場し即座にこのオブスキュラスを攻撃した。闇祓いたちの手によって攻撃されクリーデンスが消滅したかに見えると憤怒に駆られたグリンデルバルドは我を忘れ、究極的な理想論に従ってマグルから身を隠さなければいけないことに対する嫌悪を露わにしてもはやグレイブスのふりを続けようともしなくなった。ピッカリーはすぐに「グレイブス」の逮捕を命じたが、並外れた魔力を隠す必要がなくなったグリンデルバルドは少なくとも20人以上はいる闇祓いを次々と倒していった。やがてニュートが隙を突いてスウーピング・イーヴルでグリンデルバルの手を後ろで縛り上げるとティナが呼び寄せ呪文で杖を取り上げた。
そしてニュートはレベリオ・チャームを使ってグリンデルバルドの変身を解き正体を露わにさせた。逮捕されてもなお、彼は平然とし彼ほどの評判と力を持つ魔法使いを拘束しておくだけの能力があるのかと大胆にもピッカリーに尋ねてみせた。連行される際、ニュートの視線を感じたグリンデルバルドは立ち止まって"Will we die, just a little?(我々は少しだけ死ぬのか?)"と謎の問いかけを残した。
マクーザ脱出とクリーデンス捜索
"看守も3回変えました。彼は口がうまいので...舌を切って黙らせた" —セラフィーナ・ピッカリー [出典]
ニュート・スキャマンダーに捕獲されてから6ヶ月後、グリンデルバルドは犯してきた罪の取り調べを受けるため、ルドルフ・スピールマンや闇祓いたちの手によってマクーザの牢獄からヨーロッパに移送されることになっていた。人を引きつける話術に非常に長けていたため、マクーザはグリンデルバルドの舌を切断し、複数の看守を付けていた。ピッカリーやスピールマン、その他の者は知らなかったが、マクーザ職員であるアバナシーはグリンデルバルドの腹心の部下であった。この闇の魔法使いを護送する直前アバナシーが彼の監獄を訪れ、ふたりは外見を変えて入れ替わった。グリンデルバルドの外見をしたアバナシーを乗せた馬車が出発すると、グリンデルバルド(アバナシーの外見)はマクーザのプラットフォームから姿くらましして馬車の下部に姿を現わした。ふたりの魔法使いが元の姿に戻ると、グリンデルバルドは馬車の屋根に姿現わしして護衛の闇祓いたちを殺害した。そして彼はスピールマンをニューヨーク湾の水中に落下させると、腹心の部下を伴ってヨーロッパに向かったのであった。
3ヶ月後、グリンデルバルドは部下たちを連れて、ニューヨークでの戦いを生き延びていたクリーデンス・ベアボーンを再び発見するべくパリに姿を見せた。彼はクリーデンスの、アルバス・ダンブルドアを殺しうる能力を利用しようと考えていたのであった。グリンデルバルドは手下に命じてある夫婦と幼い子どもを殺害させ、一家のアパートメントを一時的な本部として使用した。このとき、グリンデルバルドはクイニー・ゴールドスタインや賞金稼ぎガナー・グリムソンを自分の味方になるように説得した。クイニーはノーマジ、ジェイコブ・コワルスキーと恋愛関係にあったことからこれを受け入れた。グリンデルバルドはクリーデンスの出生の秘密を彼から秘匿するため、アーマ・ドゥガードを殺害するようグリムソンに命令した。のちにグリンデルバルドはクリーデンスを見つけ出し、本当の両親について知るチャンスを与えると申し出てペール・ラシェーズ墓地への地図を渡したのであった。
レストレンジ家の霊廟における集会
"魔法が宿るのは選ばれたわずかな魂のみ。高みに生きる我らのみが授かる。我々なら素晴らしい世界を作れる。我々はどんな種族よりも自由と真実と愛を求める" —グリンデルバルドによる支持者への演説 [出典]
ある晩、グリンデルバルドはレストレンジ家の霊廟に支持者を招集して会合を開いた。ここでグリンデルバルドは群衆を熱狂させる演説を行った。彼はマグルに対する理想主義的観点、未来への展望について触れ、ザ・ブリッツと原子爆弾のヴィジョンを見せて新たな大規模で恐るべき戦争が近づいていると警告した。集会の途中、ニュート・スキャマンダーのスーツケースからニフラーが逃げだした。グリンデルバルドは闇祓いの大隊が集会に忍び込んでいることに気づいており、支持者たちに平静を保つよう警告してから侵入者たちの存在について言及した。彼は闇祓いたちを円の中に招くと、いかに彼らが激しく抵抗し、支持者をただ信念を持っているというだけの理由で殺害してきたかについて語り始めた。グリンデルバルドの煽動的な演説に心を動かされた若い魔女が杖に手を伸ばすと闇祓いは反射的に彼女を殺害した。グリンデルバルドと集まっていた群衆はこれに激怒した。グリンデルバルドは死体の前にひざまずくと彼女を称え、この勇敢な戦士を家族の元に帰すようにと話した。このときグリンデルバルドは気がつかなかったがニュートのニフラーが彼に近づき、ダンブルドアから彼を守っていたペンダントを盗んだ。立ち上がったグリンデルバルドは支持者たちに姿くらましを命令し、自身はその場に残って闇祓いたちと対峙した。
テセウス・スキャマンダーが部下をグリンデルバルドに向かわせると、彼は自分の周りに守りの炎で円を作った。グリンデルバルドはさらに、支持者の忠誠心を確かめる仕掛けを施した。心からグリンデルバルドに忠誠を誓い彼の思想に賛同する者は無傷で炎を通過することができ、そうで無い者は炎に飲み込まれて死亡する仕掛けであった。アバナシー、ヴィンダ・ロジエール、クリーデンス、クイニーは無事に炎を通過してグリンデルバルドにたどり着き、姿くらましした。その一方で多くの闇祓いたちは、グリンデルバルドが武器として操った炎から逃れ反撃しようと試みて死亡していった。
ダンブルドアが死を悲しむかどうか尋ねてニュートを挑発したグリンデルルドは、彼とテセウス・スキャマンダーを攻撃した。リタ・レストレンジが攻撃を止めるように叫ぶとグリンデルバルドはそれに従い、代わりに仲間に加わるよう彼女に呼びかけた。しかしリタはこれを断り、呪文を発してグリンデルバルドの髑髏の水たばこを破壊した上で彼を攻撃した。グリンデルバルドは攻撃を防ぐとリタを容易く殺害した。リタを殺したグリンデルバルドは有用な道具を破壊された怒りによって悪霊の火を解放した。彼は姿くらましする前にそれを暴走させ、パリの街全体を破壊しその場にいた者たち全員を巻き添えにするつもりであった。
しばらくのち、ヌルメンガード城において、グリンデルバルドはどうすればクリーデンスが彼を恐れなくなるかについてクイニーと話し合った。彼はその後、クリーデンスが世話をしていた幼鳥が実は不死鳥であったことを明かした。伝説によれば不死鳥は、必要に迫られた特定の魔法族の一家に属する者に姿を見せるという。そしてグリンデルバルドはクリーデンスに杖を与え出生名を教えた。クリーデンス・ベアボーンの出生名とはアウレリウス・ダンブルドアであった。
世界魔法大戦(1930年代-1945年)
"マグルとの戦いが、遂に始まる。" —グリンデルバルドによる宣戦布告 [出典]
グリンデルバルドは1930年代にマグルに宣戦布告した。彼は自身の軍隊の数を増やしていき、国際魔法使い連盟やニュート・スキャマンダー軍団、そして魔法生物たちと戦いを繰り広げた。
1939年には彼が予言した通りマグル界で第二次世界大戦が勃発した。彼は全世界に宣戦布告し、最終的にはイギリス魔法省の魔法大臣ヘクター・フォーリーを辞任に追い込んだ。魔法界が混沌に包まれる中、かつての友であるダンブルドアはグリンデルバルドと戦うことに躊躇していた。彼はグリンデルバルドがアリアナを殺害したという事実を信じたくはなかったのである。また、かつて彼と飼わした血の誓いを破ることに困難を極めた。これらの要因から魔法界の戦争は長引いた。
失墜と投獄
"風の便りに、孤独なヌルメンガードの独房で、あの者が後年、悔悟の念を示していたと聞いた。そうであってほしいと思う。自分がしたことを恥じ、恐ろしく思ったと考えたい" —グリンデルバルドについてアルバス・ダンブルドア [出典]
グリンデルバルドと従者たちはその後何年も恐怖による支配を続けた。ほとんどの魔女や魔法使いがグリンデルバルドに勝てる力を持っているのはダンブルドアのみであると信じこのふたりもそう考えていたと思われるが、それでもダンブルドアはこのかつての親友との対決をためらっていた。ダンブルドアはのちに、アリアナを殺したのが誰なのかグリンデルバルドが知っているかもしれないということを恐れ真実を知りたくなかったことがためらっていた理由であるとハリー・ポッターに話している。またかつて結んだ血の誓いを解くことも世界魔法大戦が長引く要因のひとつとなっていた。しかし63歳となってホグワーツ魔法魔術学校の変身術の主任教授となっていたダンブルドアは旧友に苦しめられた人々の声に押されついに戦う決意を固め、グリンデルバルドの追跡に乗り出した。
1945年、ダンブルドアの発見されたグリンデルバルドは伝説的な決闘を繰り広げた。あまりにもすさまじい戦いであったため、目撃者は魔法使いの間で行われた中で最大の決闘であると証言した。ニワトコの杖を制していたグリンデルバルであったが、やがてはより技能に優れているというダンブルドアに敗北した。この勝利によってダンブルドアがニワトコの杖の主人となり、グリンデルバルドを魔法界の当局に引き渡した。グリンデルバルドは皮肉にも自らが打ち立てたヌルメンガード城の最上階に幽閉されることとなり残りの生涯をここで過ごすことになった。
死
"殺すがよい、ヴォルデモート。私は死を歓迎する!しかし私の死が、お前の求めるものをもたらすわけではない・・・・・・お前の理解していないことが、何と多いことか・・・・・・" —死の直前、ヴォルデモートに対してグリンデルバルド [出典]
晩年に向かうにつれ、グリンデルバルドはそれまでの行いと革命行為を考え直し、自身と彼の従者たちが魔法界および非魔法界に引き起こした恐怖の荒らしに対して恥と後悔の念を抱くようになった。1998年、敗北から53年後、目を覚ましたグリンデルバルドは独房に別の誰かがいることに気がついた。闖入者は力を手にするためニワトコの杖を探し求めていたヴォルデモート卿であった。恐怖を抱くであろうと考えていた闇の帝王は、グリンデルバルドが落ち着き払っており前から彼を待ち続けていたことに驚いた。史上もっとも邪悪にして唯一グリンデルバルドを凌ぐ凶悪さを持つと言われた闇の魔法使いを前にして、武器もなく身を守る術もないグリンデルバルドであったがニワトコの杖の場所を教えることを拒み、ヴォルデモートを名前で呼んで嘲ると杖を探し求める彼を笑い飛ばした。彼はヴォルデモートから杖を守ることで少しだけ罪の清算を行うつもりだったのである。苛立ちを募らせたヴォルデモートは死喰い人が呼び出しの呪文を使っている中、ついに制御できないほどの怒りを爆発させた。グリンデルバルドは殺したければ殺せと言い放ち、たとえ殺してもニワトコの杖の主人になることはできないと最後の挑発をした後で死の呪いによって殺害された。
身体描写
若き日のグリンデルバルドはゴールデンブロンドに「陽気で奔放」かつ「ハンサムな」顔をしていた。ハリー・ポッター曰く彼には「フレッドとジョージ的な策略の成功を勝ち誇った雰囲気」があった。
中年期のグリンデルバルドの髪は淡いブロンドで青い目をしていた。彼はまた、白くて薄い口ひげを蓄えていた。
晩年、ヴォルデモート卿がヌルメンガード城の最上階でグリンデルバルドに会ったとき、彼は痩せ衰えていた。貧弱な骸骨のような体に頭蓋骨のような顔で、目は落ち窪み頬にはしわが寄り、ほとんどの歯は抜け落ちていた。
個性と特徴
"グリンデルバルドは、気を悪くするどころではなかった。やつは怒った。ばかな小童だ、自分と優秀な兄との行く手を邪魔しようとしている。やつはそう言った・・・・・・自分たちが世界を変えてしまえば、そして隠れている魔法使いを表舞台に出し、マグルに身の程を知らせてやれば、俺の哀れな妹を隠しておく必要もなくなる。それがわからないのか?とそう言った" —アバーフォース・ダンブルドア [出典]
若き日のグリンデルバルドは聡明で魅力的であり、彼に会った多くの者がそう感じた。アルバス・ダンブルドア自身もグリンデルバルドの魅力に幻惑され、それが実際の彼がいかに危険であるか気付かなかった理由のひとつであると回想している。彼の闇の魔術に対する執念はその人柄からは予想不可能であり、もともと他人を傷つける意思があったわけではなかった。頭脳明晰で魔術に秀で、理想主義的で無慈悲なほどに野心的で、激しい気性の持ち主である。アバーフォース・ダンブルドアが彼とアルバスの計画に反対し、兄に中止するよう迫った時、グリンデルバルドは我を忘れてアバーフォースに磔の呪文をかけた。グリンデルバルドがあえてこの呪文を使用したという事実は、グリンデルバルドが非常にサディスティックかつ凶暴で(磔の呪文は相手を憎まなければ効果がないことからも)、敵対者に純粋な苦しみを楽しんで与えていることを示している。グリンデルバルドは史上もっとも危険な闇の魔法使いの一人であり、その所業が忘れ去られた後年もヴォルデモート卿に次ぐ実力者として認知されていた。そんなグリンデルバルドも、最強とされるニワトコの杖をもってしてもダンブルドアにだけは敵わないと考えていた。実際にダンブルドアはニワトコの杖を手にしたグリンデルバルドを破り、さらに戦う前からわずかに自分の方が上回っている事を知っていたと語っていた。
グリンデルバルドは極めて傲慢で自己中心的であったが、他者の能力を見抜き、親しい人間関係(あるいは親しく見える関係)を築く才能があった。アバーフォースの証言から考えれば、グリンデルバルドは格下と見なした相手にはほとんど興味を持たず、忍耐力も持ち合わせていないと思われる。グリンデルバルドはアルバス・ダンブルドアを同等と考えたが、能力も知力も比較的少ないアバーフォースや傷ついたアリアナを軽蔑していた。また、パーシバル・グレイブスに変身した状態でニュート・スキャマンダーを尋問した際には、なぜダンブルドアがニュートを気に入っていたのかを探ろうとした。グリンデルバルドがダンブルドアのニュートについての意見を探ろうとしたということは、グリンデルバルドがさらに彼を理解しようとしていたことを示している。それと同時に彼がかつての友人をいかに理解していなかったか、この強敵に関するすべてをいかに否定していたがっていたかを示唆している。彼は冷徹ではあったが、アリアナを傷つけた咎を受ける事を恐れるなど、一般的な道徳観を持ち合わせてもいた。
所持品
- 最初の杖:グリンデルバルド本人の杖。ダームストラング専門学校の壁に死の秘宝の印を刻み、やがて自身とアルバス、アバーフォースとの三つ巴の対決時に使用された。確認されている中でこの杖を最後に使用したのはグレゴロビッチを失神させてニワトコの杖の忠誠心を奪った時である。
- パーシバル・グレイブスの杖:パーシバル・グレイブスに変身してマクーザに潜入していた際、グリンデルバルドはグレイブスの杖を使用していた。詳細は不明であるが、あこや貝のインレイ装飾で有名なアメリカの杖作りジョハネス・ジョンカーの手によるものと考えられる。グレイブスの杖にもそうした特徴が見られる。
- ニワトコの杖:グリンデルバルドは「宿命の杖」や「死の杖」とも呼ばれる、現存するもっとも強力なこの杖(死の秘宝のひとつでもある)を駆使した。彼はグレゴロビッチを失神させることで杖の忠誠を奪ったが、最終的にはアルバス・ダンブルドアとの伝説的な決闘に敗れ奪われている。
- 死の秘宝のネックレス
- 髑髏の水たばこ
- 血の誓いのペンダント
- アントニオ
名前の由来
- 「Gellert」とは「Gerard」のハンガリー語版であり、ゲルマン語派の「ger」(「槍」)と「hard」(「勇敢、我慢強い」)に由来する。Saint Gellert(聖ゲッレールト)はイタリア生まれの宣教師でありハンガリーで活動した殉教者である。
- Gellért Hill(ゲッレールトの丘)はハンガリー、ブダペストにあるドナウ川を見渡せる丘である。ゲッレールトの丘はここから突き落とされて死亡した聖ゲッレールトにちなんで名付けられた。有名なHotel Gellért(ホテル・ゲッレールト)とGellért Baths(ゲッレールト温泉)は丘の麓にあるGellért Square(ゲッレールト・スクエア)に位置している。
- 「Grindel」は古ドイツ語で「ボルト」を意味する。またベオウルフに倒された伝説の怪物Grendel(グレンデル)にも似ている。これは「ウルフリック」というミドルネームを持つアルバス・ダンブルドアとのライバル関係を示していると思われる。「Wald」はドイツ語で森を意味する。
- 「Grindelwald」(グリンデルヴァルト)とはまた、スイス、ベルナー・アルプスに位置する村で有名なスキーリゾート地の名前でもある。
舞台裏
- 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』ではイギリス人俳優ジェイミー・キャンベル・バウアーが若き日のグリンデルバルドを演じた。バウアーは『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』でも青年期のグリンデルバルドの役を演じている。
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』ではイギリス人俳優マイケル・バーンが老年期のグリンデルバルドを演じた。
- 『ファンタスティック・ビースト』シリーズの第一作目と第二作目ではジョニー・デップがグリンデルバルドを演じた。第一作目ではほとんどの場面でパーシバル・グレイブスの姿をしており、その状態の時はコリン・ファレルが演じている。第三作目ではマッツ・ミケルセンがグリンデルバルドを演じた。
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』の映画版では、グリンデルバルドの歴史的な足跡はまったく描かれていない。また、ヴォルデモートは彼を殺すこともなく独房を後にしている。彼の生死は映画では描かれていない。
- グリンデルバルドはシリーズで初めて登場したダームストラング専門学校の生徒であるがその事実が初めて明かされたのは『死の秘宝』である。
- 2005年、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』が発売された頃のインタビューにおいてJ・K・ローリングはグリンデルバルドが1945年に敗れたのは偶然ではないと話しており、グリンデルバルドとアドルフ・ヒトラーあるいは少なくともヨーロッパにおける第二次世界大戦との相似を示唆している[7]。
登場作品
- ハリー・ポッターと賢者の石 (有名な魔法使いカードでの言及)
- ハリー・ポッターと賢者の石 (映画) (蛙チョコレートのカードに名前の記載) (削除シーンで言及)
- ハリー・ポッターと賢者の石 (ゲーム) (有名な魔法使いカードでの言及)
- ハリー・ポッターと死の秘宝 (初登場) (写真で登場) (幻影として登場)
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (写真で登場) (幻影として登場)
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (ゲーム) (幻影として登場)
- レゴ ハリー・ポッター 第5章-第7章[8]
- LEGO Dimensions[9]
- レゴ ファンタスティック・ビースト
- LEGO Brickheadz: Harry Potter
- ポッターモア (有名な魔法使いカードでの言及)
- 幻の動物とその生息地 (2017年版) (まえがきで言及)
- ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
- ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 映画オリジナル脚本版
- ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 映画オリジナル脚本版
- ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
- ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密
- ハリー・ポッター:ホグワーツの謎 (言及のみ)
- ハリー・ポッター:魔法同盟 (言及のみ)
- ハリー・ポッター:魔法の覚醒 (言及のみ)
関連項目
- 世界魔法大戦
- ゲラート・グリンデルバルドの軍隊
- 死の秘宝の印
- 死の秘宝
脚注
- ↑ 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第18章 アルバス・ダンブルドアの人生と嘘において、リータ・スキーターはグリンデルバルドが16歳の時にダームストラング専門学校から放校処分になったと言っている。また、それは彼がゴドリックの谷へ旅をしてアルバス・ダンブルドアと出会ってからまもなく起きたことである。アルバスとの出会いは彼がホグワーツ魔法魔術学校を卒業した直後の1899年夏である。
- ↑ ダームストラングはマグル生まれの生徒を受け入れておらず、また、大おばが魔女であるため。
- ↑ ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
- ↑ J・K・ローリングのツイッター - "He is a Seer AND he was lying."
- ↑ 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 映画オリジナル脚本版』シーン116 - "Graves transforms. He is no longer dark, but blond and blue-eyed"
- ↑ ファンタスティック・ビースト (映画シリーズ) (この画像を参照)
- ↑ "The Leaky Cauldron and Mugglenet interview Joanne Kathleen Rowling: Part Three," The Leaky Cauldron - 2005年7月16日
- ↑ http://www.youtube.com/watch?v=NRScRfkKuXY
- ↑ Youtube - LEGO Dimensions: Fantastic Beasts Story Pack - Updated Ending
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