"ポッター、おまえが私に勝てるわけがない!私は、昔もいまも、闇の帝王のもっとも忠実な従者だ。あの方から直接に闇の魔術を教わった。私の呪文の威力は、おまえのような青二才がどうあがいても太刀打ちできるものではない――" —自身の忠誠と能力についてベラトリックス・レストレンジ [出典]
ベラトリックス・“ベラ”・レストレンジ(旧姓ブラック)(1951年~1998年5月2日)とは、純血の魔女で、シグナス・ブラック3世とドゥルーエラ・ブラック(旧姓ロジエール)の娘であり、アンドロメダ・トンクスとナルシッサ・マルフォイの姉である。彼女は聖28一族に名を連ねる歴史あるブラック家の生まれだった。ベラトリックスは1962年にホグワーツ魔法魔術学校に入学しスリザリン寮に組分けされた。
ホグワーツから卒業した彼女は死喰い人に加わった。ベラトリックスはヴォルデモート卿に狂信的な忠誠を捧げ彼の最も危険で最もサディスティックな従者のひとりとなった。ベラトリックスとナルシッサは純血の魔法族と結婚したが、アンドロメダはマグル生まれの魔法使いテッド・トンクスと結婚して家族から勘当された。アンドロメダの名はシリウス・ブラックと同じようにブラック家の家系図から焼き消され彼女についての話は禁止された。第一次魔法戦争終結時、ヴォルデモート卿の失脚について情報を求めたベラトリックスはロドルファス・レストレンジ(夫)、ラバスタン・レストレンジ(義弟)、バーティ・クラウチ・ジュニアらと共にネビル・ロングボトムの両親で闇祓いのフランクとアリス・ロングボトムへの拷問に加わりふたりを発狂させた。彼らはふたりの闇祓いを拷問した罪で逮捕されアズカバンでの終身刑を宣告された。
ベラトリックスは1996年の大脱獄のときに9人の死喰い人と一緒にアズカバンを脱走した。彼女は第二次魔法戦争の複数の戦闘に参加し、従弟のシリウス・ブラックや姪のニンファドーラ・トンクスといった不死鳥の騎士団に参加した親戚を殺すことに執念を燃やした。ベラトリックスはまた、ハリー・ポッターの強力な味方となったマルフォイ家のもと屋敷しもべ妖精ドビーをナイフで殺害した。最後の戦いにおいて、彼女はヴォルデモートを除いて最後まで抵抗を続けた死喰い人だったが、最終的にジネブラ・ウィーズリーを殺そうとした時に母親のモリー・ウィーズリーに攻撃され命を落とした。
極秘ではあったが、死の前、ベラトリックスは敬愛する主人ヴォルデモート卿との間にできたデルフィーニという名の娘を出産していた。デルフィーニは1996年の神秘部の戦いの後、1998年のホグワーツの戦いにおいてベラトリックスが死亡する前に誕生した。
経歴
生い立ち (1951年~1970年)
ベラトリックスは1951年、シグナス・ブラック3世とドゥルーエラ・ブラック (旧姓ロジエール)のもとに誕生し、純血の家系に誇りを持つよう育てられた。彼女にはふたりの妹、アンドロメダとナルシッサ・ブラックがいたが、アンドロメダがマグル生まれの魔法使いテッド・トンクスと結婚してブラック家から絶縁されると一切の関わりを断った。ベラトリックスは1997年にヴォルデモート卿に自身もナルシッサも「穢れた血のトンクスと結婚したアンドロメダなど眼中にない」と伝えている。彼女はまた、マグル生まれやマグルに対し異なる意見を持っていた従弟シリウス・ブラックについても「血を裏切る者」として軽蔑していた。
ベラトリックスは純血のブラック家の生まれであり裕福な幼少期を過ごした。彼女はホグワーツ魔法魔術学校に入学しスリザリン寮に組分けされた。そして同じくスリザリン生だった純血で裕福なロドルファス・レストレンジと結婚する。ふたりはのちに夫婦でヴォルデモート卿の忠実な部下となるが、このときの結婚は家族の純血を守るための義務的なもの以外の何物でもなかった。アンドロメダやナルシッサと異なり、ベラトリックスは夫に対して愛情を示すことはなく話題にさえしなかった。
ヴォルデモートが初めて権力の座に就くとベラトリックスとロドルファスは死喰い人に加わった。ヴォルデモートはベラトリックスにさらなる闇の魔術の訓練を直々に授けた。彼こそがベラトリックスの愛情の先であり、常に敬愛し関心を寄せた。ところが愛を理解できないヴォルデモートは彼女に応えることもなく誰かと感情的につながることを拒んだ。
第一次魔法戦争 (1970年~1981年)
第一次魔法戦争が勃発するとベラトリックスとロドルファスはヴォルデモートの死喰い人として活動した。ふたりは戦争中その忠誠を貫き通し、ヴォルデモートがハリー・ポッターによって力を失ってもなお信念は揺らぐことがなかった。
1981年10月31日に闇の帝王が姿を消すとベラトリックスおよびロドルファス、義弟ラバスタン、バーティ・クラウチ・ジュニアらヴォルデモートの従者たちは闇祓い/不死鳥の騎士団メンバー、アリスとフランク・ロングボトム(息子ネビル・ロングボトムが生まれたばかりだった)を誘拐した。ベラトリックスと仲間たちは磔の呪いでアリスとフランクを拷問しヴォルデモートの居場所を聞き出そうとしたがふたりは情報提供を拒んでついに精神に異常をきたしてしまった。こうした残虐な犯罪は魔法界に大きな波紋を呼び、魔法省は世間の声に押されて犯人逮捕に乗り出した。捕まった4人は魔法法律評議会で裁判を受けアズカバンでの終身刑を宣告される。拷問の結果アリスとフランクはその後の生涯を聖マンゴ魔法疾患傷害病院で過ごさなければならなくなり、息子がいたことも思い出せなくなってしまっていた。
戦争の間 (1981年~1995年)
服役
"クラウチ、闇の帝王は再び立ち上がるぞよ!われわれをアズカバンに放り込むがよい。われわれは待つのみ!あの方は蘇り、われわれを迎えにおいでになる。ほかの従者のだれよりも、われわれお褒めくださるであろう!われわれのみが忠実であった!われわれだけがあのお方をお探し申し上げた" —裁判においてベラトリックス [出典]
闇の帝王の凋落によりベラトリックスは裁判にかけられる。彼女は他の死喰い人たちとは異なり、忠誠を偽ろうとはしなかった。彼女はヴォルデモートへの変わらぬ忠義を叫び彼がいつか復活するであろうと述べたのである。事実、ベラトリックスはヴォルデモートへの忠誠をとても誇りに思っており、魔法法律評議会の前の裁判においては鎖で繋がれた椅子に、まるで玉座についているかのように座っていたという。
のちにベラトリックスは自身を闇の帝王のもっとも忠実な下僕であると表現し、彼女が尊敬したヴォルデモートもベラトリックスには一定の敬意を払っている。ベラトリックスはアズカバンで釈放の余地なしの終身刑を宣告されていた。彼女はそれから脱走するまでの15年間を牢獄で過ごしたことになる。アズカバンでの月日はすでに不安定だった彼女の精神に大きな打撃を与えた。
1995年、ハリー・ポッターはアルバス・ダンブルドア教授の憂いの篩でベラトリックスの裁判を目撃する。
第二次魔法戦争 (1995年~1998年)
アズカバン脱獄
"レストレンジたちがここに立つはずだった。しかし、あの二人はアズカバンに葬られている。忠実な者たちだった。俺様を見捨てるよりはアズカバン行きを選んだ・・・・・・アズカバンが解放されたときには、レストレンジたちは最高の栄誉を受けるであろう" —蘇ったヴォルデモート卿 [出典]
1996年6月、肉体を取り戻したヴォルデモートは、捕らえられ裁判にかけられても裏切らなかったベラトリックス、ロドルファスおよびラバスタンらをもっとも忠実なる従者であると表現し、栄誉を受けるべきであると述べた。
1996年1月、アズカバンで大規模な脱走が起こり、長期収監されていた10人の死喰い人が自由の身となった。ベラトリックスも厳重に警戒されていた10人のうちのひとりで大脱獄に加わってヴォルデモートのもとに戻った。吸魂鬼たちもまたヴォルデモートの陣営についた。吸魂鬼はもともと闇の生物であるためヴォルデモート卿はわけもなく彼らを味方につけることができたのである。「日刊予言者新聞」はこれ以前に脱獄していたシリウス・ブラックが事件に関与した疑いがあると報じた。この10人は犯した罪があまりにも残酷で悪名高いためもっとも危険で厳重に警備されていた囚人たちだった。ベラトリックスと仲間たちは指名手配の魔女や魔法使いとなった。彼らは魔法省からの逃亡の日々を送った。
神秘部の戦い
"『許されざる呪文』を使ったことがないようだね、小僧?本気になる必要があるんだ、ポッター!苦しめようと本気でそう思わなきゃ――それを楽しまなくしゃ――まっとうな怒りじゃ、そう長くは私を苦しめられないよ――どうやるのか、教えてやろうじゃないか、え?揉んでやるよ――クルーシオ!" —許されざる呪文について、ハリー・ポッターに対しベラトリックス・レストレンジ [出典]
同じ年の数ヵ月後、ベラトリックスと義弟ルシウス・マルフォイはハリー・ポッターと闇の帝王に関する予言を盗む計画に加わり神秘部の戦いに参加した。ハリーがヴォルデモートの名前を口にし彼の血統が半純血であると言うとベラトリックスが激昂した。彼女はまたネビル・ロングボトムに気づき、やがて両親にしたのと同じように彼を拷問した。ベラトリックスは6人のダンブルドア軍団メンバーと話す際非常に高圧的でもあった。彼女は呼び寄せ呪文でハリーから予言を奪おうとするが彼の素早い盾の呪文で失敗に終わる。彼女はまた、目的を遂げるためならどんなことでも厭わず、ハリーの前で14歳のジニー・ウィーズリーを拷問するとサディスティックかつ喜んで言い放った。
不死鳥の騎士団メンバーが到着すると、ベラトリックスは姪のニンファドーラ・トンクスと決闘して打ち負かす。そして従弟のシリウス・ブラックと決闘を始める。シリウスは偏屈なブラック家とその純血至上主義を嘲った。ベラトリックスは呪いをシリウスに命中させ、倒れた彼は死の間のベールを超えて死亡した。シリウスを殺したベラトリックスは脱出する前にキングズリー・シャックルボルトを倒した。ハリーはシリウス殺害の仇を撃つためベラトリックスを追いかけた。彼は磔の呪文を彼女に当てるが苦しみはほとんど持続しなかった。ベラトリックスは嘲笑しながらも正しく使わなければ効果がないのだと話した。
ハリーがベラトリックスに磔の呪文をかけた直後、ヴォルデモートが神秘部に到着する。ベラトリックスは自分を罰しないように懇願し近くにアルバス・ダンブルドアがいることを警告するが、彼は彼女を無視してハリーを狙っていた。ヴォルデモートが死の呪いをかけようとしたときダンブルドアが到着する。ヴォルデモートとの決闘の前、ダンブルドアはコーネリウス・ファッジと闇祓いたちを呼び出していた。ふたりの決闘ののちファッジと闇祓いたちが現場に現れる。ヴォルデモートはベラトリックスを掴んで姿くらまししたが姿を消す前、大勢に目撃されてしまった。闇の帝王が救出できた死喰い人は彼女のみであった。他の物たちは皆逮捕されてアズカバンに収監されてしまう。
アルバス・ダンブルドア暗殺計画
"おまえを信用していないってことさ、スネイプ、おまえもよく知ってのとおり!" —セブルス・スネイプの忠誠心を疑うベラトリックス [出典]
1996年の7月、ベラトリックスは嫌々ながらも妹のナルシッサ・マルフォイについてスピナーズ・エンドにあるセブルス・スネイプの家を訪れる。そこでベラトリックスはスネイプに食ってかかり信用していないと告げる。スネイプは冷静に納得のゆく論理的な受け答えをして見せ、彼女の威勢を削いだが、反論しないところもあった。しかしナルシッサは息子ドラコがホグワーツでヴォルデモートの命令であるダンブルドア暗殺を成し遂げるまで、彼の安全を守るよう懇願する。スネイプは自身とナルシッサを破れぬ誓いで結ぶことに同意しベラトリックスを驚かせた。
ベラトリックスはまた、甥のドラコに閉心術を教え、スネイプに計画の詳細がわからないようにすることで彼を補助した。彼女はナルシッサに、心配するのではなくドラコが「尻込みしていない」ことを誇りに思うべきだと告げて主人に対する並外れた忠誠心を顕にした。
七人のポッターの戦い
翌年には、ベラトリックスはナルシッサとともにマルフォイの館で暮らすようになっていた。彼女は家の中でヴォルデモートがここに留まることを喜んだ唯一の人物でもあり、「これ以上の喜びはない」と話した。この揺るぎない忠誠心にも関わらず、ヴォルデモートはベラトリックスとナルシッサの姪であるニンファドーラ・トンクスが狼人間リーマス・ルーピンと結婚したことに言及して彼女とマルフォイ家を侮辱した。ベラトリックスは自分とナルシッサにとってニンファドーラは姪などではなく、母親(ベラトリックスの妹でナルシッサの姉、アンドロメダ。マグル生まれのテッド・トンクスと結婚)とも縁を切っていると主張した。ヴォルデモートもようやくからかいをやめ、ベラトリックスに「ファミリー・ツリー」の「枝落とし」をするよう助言する。ベラトリックスはできるだけ早くすると熱っぽく答えた。
その後、死喰い人がハリー・ポッターをプリベット通り4番地から移動させようとする不死鳥の騎士団を攻撃すると、ベラトリックスと夫はトンクスを執拗に付け狙った。ロドルファスは追跡で負傷しトンクスは逃亡した。やがてヴォルデモートの命令により、グリフィンドールの剣の複製品がグリンゴッツ魔法銀行のレストレンジの金庫に収められた。ベラトリックスもヴォルデモートもこのときは剣が偽物に過ぎないとうことに気づいていなかった。
マルフォイの館の小戦闘
"おまえは嘘をついている、『穢れた血』め、私にはわかるんだ!おまえたちはグリンゴッツの私の金庫に入ったんだろう!本当のことを言え、本当のことを!ほかには何を盗んだ?ほかに何を手に入れたんだ?本当のことを言え。さもないと、いいか、この小刀で切り刻んでやるよ!ほかに何を盗んだ?答えろ!クルーシオ!苦しめ!" —ハーマイオニー・グレンジャーを拷問するベラトリックス [出典]
1998年、グリフィンドールの剣を持ったハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーらが人さらいに捕まってマルフォイの館に連行されるとベラトリックスはパニックに陥った。ハリーはこの反応を見て、レストレンジの金庫にヴォルデモートの何かが隠されておりそれが分霊箱のハッフルパフのカップではないかと推測した。ベラトリックスはすべての人さらいを失神させ、ドラコが嫌がればのちに殺すつもりでいた。彼女はまた、ハーマイオニーがハリーやあわよくばロン、自身の正体を隠すためにかけた蜂刺しの呪いで人相が変わったハリーの顔をドラコに確認させた。ハーマイオニーはハリーやロンと引き離される。
ベラトリックスはハーマイオニーを尋問し、磔の呪いを使いナイフで腕に「穢れた血」と刻んで拷問した。しかしハーマイオニーは激しい苦痛に耐え本物の剣を複製と主張し嘘をつき通した。ベラトリックスはハリーと友人たちが金庫から剣を盗み出したと疑い、剣の真贋を鑑定するためにグリップフックを地下牢から連れてくるようピーター・ペティグリューに命じた。グリップフックはハリーの要求に従って剣が偽物であると嘘をつき秘密を守った。ペティグリューがハリーに情けをかけて首を絞めていた手を緩めたことで自身の銀の手で窒息死すると、ハリーとロンは地下から抜け出しハーマイオニーのもとに駆けつける。
ロンがベラトリックスを武装解除しハリーがルシウス・マルフォイを失神させると、彼女はナイフでハーマイオニーを殺すと脅した。意識のないハーマイオニーの喉元にナイフを突きつけながら彼女は武器を捨てるよう命じた。そして闇の印を使ってヴォルデモートを呼んだ。そこにドビーが姿現わししてベラトリックスの上にシャンデリアを落下させた。彼女は慌ててハーマイオニーを放しその場を離れる。彼女はかつての主人に対する屋敷しもべ妖精の行動を厳しく非難したがドビーは自身を「自由な妖精」と呼んだ。ドビーがハリーたちと姿くらましする瞬間ベラトリックスはドビーめがけてナイフを投げつけナイフも姿くらましに巻き込まれて消えた。ナイフはドビーの胸に命中しており彼はまもなく死亡した。ベラトリックスと家族たちはハリーの逃亡を許したことでヴォルデモートから厳しい処罰を受ける。彼女はこの小戦闘で杖も奪われてしまっていた。
マルフォイの館での一件ののち、ハーマイオニーは拷問中についたベラトリックスの髪を使ってポリジュース薬を飲み、彼女に変身してグリンゴッツに侵入した(ダイアゴン横丁は死喰い人で埋め尽くされていたため)。
ホグワーツの戦いと死
- ベラトリックス:"私がおまえを殺してしまったら、子どもたちはどうなるだろうね?ママが、フレディちゃんとおんなじようにいなくなったら?"
- モリー・ウィーズリー:"おまえなんかに――二度と――私の――子どもたちに――手を――触れさせて――なるものか!"
- — ベラトリックスとモリー・ウィーズリー[出典]
1998年のホグワーツの戦いにおいて、ベラトリックスはようやく絶縁した妹の娘ニンファドーラ・トンクスを殺すことに成功する。ハリー・ポッターが身柄を差し出すのを待つためヴォルデモートが一時的に撤退するとベラトリックスは彼のそばでともに待ち受けた。ヴォルデモートがハリーに死の呪いを使って倒れるとベラトリックスは手を貸そうとしたが冷たくあしらわれてしまう。彼女はハリーの生死を確かめる役割を自ら買って出たがヴォルデモートは代わりに妹のナルシッサを選んだ。ナルシッサが嘘をついてハリーは死んだと告げると、ベラトリックスはヴォルデモートや他の死喰い人らとホグワーツにその「死」を知らせに向かった。
戦いが再開されると、ベラトリックスは主人が一度に3人を相手にしているのと同じように同時にハーマイオニー・グレンジャー、ジニー・ウィーズリー、ルーナ・ラブグッドと戦った。3人の若き魔女たちは皆優秀であったが力を合わせてもベラトリックスの魔力には敵わなかった。彼女はヴォルデモートのそばに残った最後の死喰い人となる。死の呪いをジニーに向けて放ったが寸前のところで外れた。このことでジニーの母親モリー・ウィーズリーが逆上しマントを脱ぎ捨てるとこの死喰い人と一騎打ちに出た。ベラトリックスはモリーを見くびっており死んだフレッド・ウィーズリーを「フレディ」と呼んでモリーを挑発した。
決闘は続いていき、やがて進行するにつれふたりの魔女の足元の床が熱せられて亀裂が走っていった。ベラトリックスは相手を嘲笑したが、そのときモリーの放った呪いが彼女の胸を直撃して致命傷を与えた。ベラトリックスの死体は床に倒れこみ、ヴォルデモートは怒り狂ってモリーに狙いを定めた。透明マントに隠れて戦いを見守っていたハリーがここで姿を見せ間に入った。そしてヴォルデモートとハリーの最後の戦いが幕を開けたのであった。ベラトリックスは生前スネイプに抱いていた不信感が正しかったことを知ることもなく、その直後に起きた主人の敗北を見ることもなく死んでいったのであった。
身体的描写
"豊かな艶のある黒髪の魔女は、鎖つきの椅子が王座でもあるかのように踏んぞり返り、目を半眼に開いていた" —裁判でのベラトリックスの描写 [出典]
ベラトリックスは長身で、豊かな艶のある黒髪をした魔女として描写されている。唇は厚く広いまぶたに長いまつげがっしりとした顎を持っていた。彼女はブラック家にありがちな、優雅な外見と横柄な振る舞いをしていたが従弟のシリウス・ブラックと同じように、アズカバンに入ってからは外見も変化した。死喰い人であるためベラトリックスの左前腕には闇の印が刻まれている。
長年にわたる牢獄生活の結果、彼女の顔は落ち窪んで骸骨のようになったが、かつての美貌の跡は残っていた。ベラトリックスはひと目で見れば妹のアンドロメダ・トンクスに似ている。しかしアンドロメダは明るい茶髪でより親切な顔に大きな目をしていた。ハリー・ポッターは、彼女の末の妹ナルシッサの方がはるかに色が白かったがそれでもベラトリックスとの相似を見出していた。
個性と特徴
ベラトリックスは極めてサディスティックで残忍かつ暴力的傾向を持っていた。知性も持ち合わせていたが従弟のシリウスや伯母のヴァルブルガと同じで逆上しやすく、激しく危険な気性の持ち主であった。彼女はヴォルデモート卿のもっとも忠実な従者であることを誇りに思っていた。
名前の由来
ベラトリックス(Bellatrix)はブラック家の他のメンバーと同じく星から名前が由来している。ベラトリックスとはオリオン座の中で3番目に明るい星でアマゾン・スターの異名も持つ。アマゾンとはギリシア神話に登場する女戦士たちを指す。Bellaとはラテン語で戦争を意味するBellumの複数形であり、「美しい」という意味の女性単数形容詞でもある。trixは女性接尾辞である。
舞台裏
- 映画版のシリーズでベラトリックス・レストレンジを演じたのはヘレナ・ボナム・カーターである。映画版初登場となる『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』ではもともとヘレン・マクローリーが演じる予定であったが妊娠したため降板した。撮影終了後、ボナム・カーターも妊娠したと判明した。その後、マクローリーは『ハリー・ポッターと謎のプリンス』でベラトリックスの妹ナルシッサを演じた。
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の映画版では、ベラトリックスがアルバス・ダンブルドア暗殺と天文台の塔の戦いに参加しているが原作ではこの場面には登場しない。また、クリスマス休暇にベラトリックス、フェンリール・グレイバック、氏名不詳の死喰い人が隠れ穴を襲撃して破壊するという映画独自のシーンも付け加えられた。
登場作品
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット (初登場)(回想に登場)
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (ベラトリックス・レストレンジとして初登場)
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (映画)
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (ゲーム)
- ハリー・ポッターと謎のプリンス
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- ハリー・ポッターと死の秘宝
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