許されざる呪文は、魔法界で最も邪悪な呪いである死の呪い、磔の呪い、服従の呪文を指す言葉[1]。これらの呪いは1717年に使用が禁止され、使用した場合は厳罰が課された。
少なくとも1990年代までにマグルまたは魔法使いに3つの呪いを行使した場合、服従の呪文の支配下に置かれた場合を除き、終身刑が課せられた。そのため第一次魔法戦争後、多くの闇の魔法使いは服従の呪文を口実に罪を逃れようとした[1]。
闇祓いは第一次魔法戦争中、魔法省によって死喰い人に対して限定で許されざる呪文の使用が認められた[2] 。その後ヴォルデモート政権下で再び使用が合法化されたが、政権崩壊後これらの呪いは非合法化された
歴史[]
アルバス・ダンブルドアによれば3つの呪文は1717年から使用が禁止され、「許されざる呪文」となった。
第一次魔法戦争で死喰い人はこれらの呪文を多く使用した。魔法省はこれらの集団に対抗するため特例として死喰い人に対する許されざる呪文の使用を許可した。ヴォルデモートの最初の破滅後、死喰い人の残党は不死鳥の騎士団メンバーであるフランク・ロングボトムとその妻アリスを襲撃し、夫妻に磔の呪文を使用した拷問を加えた[3]。その結果夫妻は廃人同然となり聖マンゴ魔法疾患傷害病院に入院することになった。この出来事は魔法史上残虐な出来事として記憶されている。
ホグワーツ魔法魔術学校の1988~1989年度、当時の闇の魔術に対する防衛術教授のパトリシア・レークピックはローワン・カナが服従の呪文を受けた際に、ジェイコブのシブリングに対して防衛手段として磔の呪文を教えようと試みたが、習得を拒否したため失敗に終わった。彼女は学年末にメルーラ・スナイドに磔の呪文を使い翌年度にはローワンを死の呪文で殺害した。その後、メルーラは復讐心から最後の呪われた部屋でレークピックに磔の呪文や死の呪文を掛けようとするが失敗した。
1994~1995年度にはポリジュース薬でアラスター・ムーディに変装したバーテミウス・クラウチ・ジュニアが4年生を対象とした授業で許されざる呪文を実践し、クモを操り、苦しませ最終的には殺害した。また彼は生徒の何人かに服従の呪文を掛けた。教室で彼はこれらの呪文を使用すればアズカバンで終身刑になると語った。1995年6月24日、ハリー・ポッターはリトル・ハングルトンの決闘でヴォルデモートから2回の磔の呪文と1回の服従の呪文を受けた。皮肉なことにクラウチの授業によって彼は服従の呪文に対抗することができた。
1996年の神秘部の戦いでハリーはベラトリックス・レストレンジに磔の呪文を使ったが大きな効果にはならなかった。彼女曰く、磔の呪文は「相手に苦痛を与え、それを楽しむこと」が必要であると語った。
ベラトリックスはマルフォイの館でハーマイオニー・グレンジャーを磔の呪文で拷問し、1998年のグリンゴッツ侵入でトリオはゴブリンに服従の呪文を使った。また、この年にヴォルデモートはハリーを禁じられた森と大広間で死の呪いを使ったが全て失敗に終わった。
魔法省の陥落からヴォルデモートの失脚まで許されざる呪文は使用は合法化された。戦争が終結し、キングズリー・シャックルボルトが魔法大臣に就任したことで再びこれらの呪文の使用は禁止された。
使用[]
種類[]
服従の呪文 インペリオ[]
服従の呪文は対象者をトランス状態にし、術者の思うように動かすことができる。対象者は快楽や幸福感に満ちた感情を持つ。この状態になると術者の命令に無条件で従うことになる。そのため、他の者が忌避するような事柄まで疑いなく実行する。また、この呪文はクモなどの動物にも有効である。
死喰い人はこの呪文を頻繁に使用した。魔法省の陥落の際には事前に服従の呪文で操った魔法省の職員を忍び込ませ、内部情報を得ることに成功している。また、ヴォルデモートが失脚した際はこの呪文に操られていたという口実で罪から逃れることに成功した者が多数存在する。
服従の呪文は抵抗することは可能であるが非常に困難を極め、強い意思を持たなければ支配から脱することは不可能だった。ハリー・ポッターやバーテミウス・クラウチ・ジュニアは抵抗できる魔法使いとして知られている。
磔の呪文 クルーシオ[]
対象に筆舌に尽くしがたい苦痛を与える磔の呪文は詠唱を必要とする。呪文の効果は術者の感情によって変化する。ベラトリックス・レストレンジによれば呪文を成功させるためには相手を苦しめたいという意思が必要である。呪文の性質上、拷問に適しており死喰い人によって使用されることが多かった。
磔の呪文はフランク・ロングボトムと妻アリスを聖マンゴ魔法疾患傷害病院に送った呪文として知られている。この事件は魔法の歴史上最も残忍な犯行である。
死の呪い アバダ ケダブラ[]
瞬間的で痛みのない死を与える呪文。この呪文を唱えると杖から緑の閃光が発射され対象に当たれば即死する。副次的な影響はなく犠牲者は何の外的・内的損傷もなく死ぬ。そのためこの呪文は対象の内臓を破壊するものではなく、魂を対象の肉体から引き裂くものであると考えられる。
この論拠は死の呪いを最も多く使用したヴォルデモートの発言から裏付けられる。彼は対象から跳ね返った死の呪いを経験しながらも、自身が製作した分霊箱によってその後復活したが、後に呪いを受けた際魂が自分の体から引き裂かれる感覚があったと述べている。
死の呪いは反対呪文が存在せず、魔法によって防ぐことは不可能だった。しかし、障害物に隠れたり、かわすことで回避することが可能である。また、障害物に当たった場合小さな爆発を起こし、緑色の炎を発する。
舞台裏[]
- 「許されざる呪文」と呼称されるのはこれらの呪文の使用が魔法界で最も重い罪に処されるからである。「許されざる」の言葉はキリスト教における「原罪」や「永遠の罪」の概念を暗示しているかもしれない。
- セブルス・スネイプはアルバス・ダンブルドアを殺害する際に死の呪いを使ったが、悪意のある殺意を以て殺した訳ではなかった。本心は殺したくはなく、慈悲と決意の念を込めた死の呪いだった。
- テセウス・スキャマンダーの部下がゲラート・グリンデルバルドの信奉者に死の呪いを使用した描写から、世界魔法大戦時にも許されざる呪文の使用が解禁されていた可能性がある。
- ハリー・ポッターは全ての許されざる呪文を経験し生還した唯一の魔法使いである。彼は1981年と1998年の2回に渡って死の呪いを生き延びた。また彼はクラウチの指導の下、服従の呪文に対抗する方法を会得した。
- ハリー・ポッターと秘密の部屋の最後の場面でハリーにドビーを取られたルシウス・マルフォイが「アバダ…」と唱えるシーンがあるが、ダンブルドアが近くにおり、ホグワーツの敷地内であることを考慮すれば、このルシウスの行動は理性に欠けている。脚本の原案ではルシウスが死の呪いを指示するものは含まれおらず、ただハリーに呪文をけしかけるとしか書かれていなかった。アバダはルシウス役の俳優が最初に頭に浮かんだ呪文であることが後に明らかになっている。
- ゴブリンやヴァンパイアなどヒト以外の存在に対して使用した場合の処罰は特に言及はないが、おそらくヒト同様にアズカバン送りになると考えられる。
- ハリー・ポッターと炎のゴブレットの映画ではバーテミウス・クラウチ・ジュニアが授業で「許されざる呪文」と黒板に書くが、スペルを間違えている。これは彼がアラスター・ムーディではなく、書くことに馴れていない事を暗示している可能性がある。
登場作品[]
- ハリー・ポッターと賢者の石 (初登場) (フラッシュバックに登場)
- ハリー・ポッターと賢者の石 (映画) (フラッシュバックに登場)
- ハリー・ポッターと賢者の石 (ゲーム) (おそらく登場) (PS1 version only)
- ハリー・ポッターと秘密の部屋 (映画) (アバダ のみ)
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット (許されざる呪文という名前で初登場)
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット (映画)
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット (ゲーム)
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (映画)
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (ゲーム)
- ハリー・ポッターと謎のプリンス
- ハリー・ポッターと謎のプリンス (映画)
- ハリー・ポッターと謎のプリンス (ゲーム)
- ハリー・ポッターと死の秘宝
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (ゲーム)
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
- ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 (ゲーム)
- ハリー・ポッターと呪いの子
- ハリー・ポッターと呪いの子 (舞台)
- ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 映画オリジナル脚本版
- ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
- 幻の動物とその生息地 (言及のみ)
- 吟遊詩人ビードルの物語 (言及のみ)
- テンプレート:JKRS (言及のみ)
- ポッターモア
- 魔法ワールド}
- レゴ ハリー・ポッター 第1章-第4章
- レゴ ハリー・ポッター 第5章-第7章
- LEGO Dimensions
- Harry Potter: Spells
- Harry Potter for Kinect
- ハリー・ポッター:ホグワーツの謎
- ハリー・ポッター:魔法同盟 (言及のみ)
- ハリー・ポッター:魔法の覚醒
脚注[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第14章 許されざる呪文
- ↑ 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第27章 パッドフット帰る
- ↑ 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第30章 ペンシーブ