"世界を変えるのに魔法は必要ありません。私たちはすでに必要な力を内に秘めているのです" —2008年6月5日、ハーバード卒業式スピーチにおいてJ・K・ローリング [[[1]|[出典]]]
ジョアン・"ジョー"・ローリング(大英帝国勲章、英国王立文学協会賞受賞)(1965年7月31日生まれ)とは、主にJ・K・ローリングとして知られるイギリスのフィクション作家であり映画プロデューサーである。ローリングは国際的に注目され数多くの賞を受けた『ハリー・ポッター』シリーズを手がけたことでもっとも有名である。2004年、「フォーブス」はローリングの資産は5億7千6百万ユーロであると見積もり、米ドルに換算すれば、本を書いて初めて10億以上の収入を得た人物となった。ローリングはまた、エリザベス2世でさえも届かないような、イギリスでもっとも裕福な女性である。彼女はさらに、オプラ・ウィンフリーに次いで、世界でもっとも裕福な女性エンターテイナーである。
生い立ち[]
ローリングは1965年、ピーターとアン・ローリングの娘としてイギリスのヤーテで誕生した。母親と父親、妹ダイアンの一家でブリストル、ウィンターボーンに移り、それからチェプストウに近いタッツヒルで暮らした。彼女はウィデン・コンプレヘンシヴという中学校に入学し同級生に自作の物語を話して聞かせた。1990年、ローリングの45歳の母親は10年以上に及ぶ多発性硬化症によりこの世を去った。この出来事は彼女に大きな衝撃を与えた。成長するにつれ父親との関係は張り詰めたものとなりほとんど話すこともなくなった。ローリングはまた、自身に良き父親がいなかったため、小説にはハリー・ポッターの父親的人物が多数登場したのだと述べた。
ローリングはエクセター大学でフランス語と古典文学の学士号を習得した。彼女は「似たような考えの人たち ― 急進的な思考ばかりだと思っていた」ことから「少しショックを受けた」という。「同好の友人たち」を見つけてからは大学生活を楽しむようになったという。彼女はエクスターにおける古典文学学士号習得について書き記した"What was the Name of that Nymph Again? or Greek and Roman Studies Recalled"というタイトルのショートエッセイを執筆し大学ジャーナル Pegasus で発表した。パリにおける一年間の学習ののち、ローリングはロンドンに移って研究者、およびアムネスティ・インターナショナルのバイリンガルの秘書として働き始めた。このころ、彼女はマンチェスターからロンドンに向かう4時間遅れの電車に乗り、そこで魔法の学校に通う少年の物語を思いついた。目的地に着く頃には頭の中にキャラクターと『ハリー・ポッターと賢者の石』の大部分が出来上がっており、ランチの時間を利用して執筆を開始するようになる。
その後、ローリングはポルトガルのポルトで第二言語としての英語を教えた。1992年10月16日、彼女はポルトガルのテレビジャーナリスト、ジョージ・アランテスと結婚する。1995年に離婚する前、ふたりはひとりの娘、ジェシカ・イザベル・アランテス・ローリング(1993年7月27日生まれ)をもうけた。
1994年の12月、ローリングは娘を連れて妹が近くに住むエディンバラに引っ越した。仕事がなく公的給付を受けながら、彼女はエディンバラのカフェなどで執筆を続け最初の小説を書き上げた(暖房のないアパートから逃げるためカフェで執筆したという有名な噂があるが、彼女によればこれは事実ではないという)。
ハリー・ポッターとその後[]
ローリングの出版社ブルームズベリーは、もし女性名を使えば主なターゲットである男の子達から避けられると考え、『ハリー・ポッター』ではローリングにイニシャルを使わせようと考えた。ローリングにはミドルネームがなかったため、彼女は父方の祖母のキャスリーン(フルネーム:キャスリーン・エイダ・バボルジェン・ローリング)を拝借し、J・K・ローリングとした。
『ハリー・ポッターと賢者の石』は大ヒットとなりそのため、彼女は6冊の続編を執筆した。売上により億万長者となった彼女は、2001年、スコットランド、パースシャーのテイ川沿いにある19世紀に建てられた豪邸キリシャッシー・ハウス(Killiechassie House)を購入した。2001年12月26日、彼女はここでふたりめの夫ニール・マリー博士と結婚した。
『ハリー・ポッター』シリーズは7作からなる長篇でハリーは1作につき1年を学校で過ごす。シリーズは完結した。第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』は、ライバル作家ナンシー・ストウファーがローリングを盗作で訴えた(結局敗訴した)ことによって発売が遅れた。ローリングはこのころ、書き進めることが非常に重荷であると感じて執筆から距離を置くことがあった。彼女はあまりにもプレッシャーが大きく、仕事を休むために腕を折ろうかと考えたこともあると発言した。出版社に締切を延期させた彼女は3年間ゆっくりと書き進めるのを楽しんだ。『ハリー・ポッター』シリーズが終了したあとにまた取り掛かれるような別の仕事も勧めていたとコメントした。第5作目は2003年6月21日に発売された。
2003年末、ローリングはテレビプロデューサー、ラッセル・T・デイヴィスからの接触を受けイギリスのテレビSFシリーズ『ドクター・フー』への出演を依頼された。彼女は「提案に喜んだ」がポッターシリーズの新作で忙しかったため結局は断った。2004年12月20日、彼女はハリー・ポッターの新作が2005年7月16日に発売されると発表した。
ローリングはまた、アメリカのアニメ『ザ・シンプソンズ』のイギリスをテーマにした特別回「シンプソンズイギリスへ行く」に本人役でゲスト出演した。
2008年6月5日、ローリングはハーバード大学の卒業式において基調演説者を務めた。
ハリー・ポッターシリーズ[]
- ハリー・ポッターと賢者の石
- ハリー・ポッターと秘密の部屋
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
- ハリー・ポッターと謎のプリンス
- ハリー・ポッターと死の秘宝
ハリー・ポッター関連の本や物語[]
- クィディッチ今昔
- 幻の動物とその生息地
- 吟遊詩人ビードルの物語
- ハリー・ポッター 序章
- ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 映画オリジナル脚本版
- ポッターモア プレゼンツ
- Hogwarts: An Incomplete and Unreliable Guide
- Short Stories from Hogwarts of Power, Politics and Pesky Poltergeists
- Short Stories from Hogwarts of Heroism, Hardship and Dangerous Hobbies
最初の2作は作中で言及された本の複写という体で発表されたものである。『幻の動物とその生息地』は教科書であり『クィディッチ今昔』はホグワーツ図書館の中でもっとも人気の高い蔵書のひとつである。空白には落書きや書き込みがされておりアルバス・ダンブルドアによる序文も掲載されている。ここで上がった収益はすべてコミック・リリーフ・チャリティに寄付された。ローリングは他にも多数のチャリティに金銭の寄付や協力をしており、1990年に亡くなった母親の死因である多発性硬化症の研究と治療に貢献している。ローリング自身、母の死が作品に大きな影響を与えたことを認めている。
映画シリーズ[]
『ハリー・ポッターと賢者の石』の映画版が2001年後期に、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の映画版が2002年に公開された。2作品ともアメリカの映画監督クリス・コロンバスが監督した。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の映画版ではアルフォンソ・キュアロン監督に交代しダークな雰囲気が流れた。3作目を監督する以前からキュアロンのファンだったというローリングは、この作品が映画シリーズの中で一番好きであると公言した。
ローリングは、アメリカ人の役者を使いアメリカで撮りたいという映画製作者たちの提案を拒んだ(1作目に出演したアメリカ人はふたりのみ)。彼女はしぶしぶPhilosopher's StoneをSorcerer's Stoneに変更することを認めたがアメリカ限定とした。ローリングのイギリス人俳優を使いたいという強い希望から、スティーヴン・スピルバーグはシリーズの監督を辞退した。
ローリングはのちに発売される原作と齟齬が生じないよう映画脚本を執筆するスティーヴ・クローヴスを補助した。彼女は他の誰よりも彼にシリーズのその後の展開を教えたと明かしたが、すべてを話したわけではないという。ローリングはまた、アラン・リックマンとロビー・コルトレーンにその段階では未発表だったキャラクターの秘密を教え演技に矛盾が生じないようにした。
2007年、クローヴスは自身の映画製作のために『ハリー・ポッター』から離れ、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』映画版ではマイケル・ゴールデンバーグが採用されたが、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』と『ハリー・ポッターと死の秘宝』PART1・PART2ではクローヴスが復帰した。
2013年、ローリングは『ハリー・ポッター』原作シリーズの70年前を舞台とした『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の脚本を書き始めたことを発表した。
私生活[]
2001年12月26日、ローリングはアバーフェルディのパースシャー村の自宅でニール・マリー博士と私的結婚式を挙げた。2003年3月23日、ローリングは、エディンバラにあるSimpson Centre for Reproductive Health at the New Royal Infirmaryにおいて第2子となる男の子を出産し、デイヴィッド・ゴードン・ローリング・マリーと名づけた。2005年1月23日、再びマリー博士との間に第3子を出産し、3人の子供の母親になるというローリング生涯の望みが実現した。第3子の女の子はマッケンジー・ジーン・ローリング・マリーと名付けられた。
舞台裏[]
- ローリングは6歳の時に初めての小説を書いた。ラビットという名のウサギに関するものである。
- ハーマイオニー・グレンジャーが翻訳したという形で発売された『吟遊詩人ビードルの物語 (現実世界)』において、ローリングは作中の視点から前書きを書いている。つまり、彼女は作中世界にJ・K・ローリングという人物を創造したことになる。
- ローリングは反トランスジェンダー的な発言を何度か公にしている。彼女によれば自身の性暴力の経験から人間は「身体的性別によって区別するべきだ」と考えるようになったという。この発言は世界中から非難されることとなり、ハーマイオニー役を演じたエマ・ワトソンは「トランスジェンダーの人々は、その人たちがこうだと言ったままの人たちだ。そのアイデンティティーに疑問を持たれたり、そうじゃないと言われることなく生きる権利がある」と発言した。2020年8月29日には、自身が受賞した「希望のさざ波」賞を授与団体から抗議を受けたため返還した。同年9月に出版された「私立探偵コーモラン・ストライク」の新刊「Troubled Blood」には、女装して女性を殺害する男性を登場させ、彼の行動と彼のジェンダーアイデンティティークライシスの経歴のある過去を関連付けた事により、さらに非難を浴びている。ただしこのキャラクター自体は作中でトランスジェンダー(あるいはそれを示唆した人物)として描かれているわけではない。
関連項目[]
- J.K.ローリングの公式サイト
- ハリー・ポッター 完結の瞬間 ~J.K.ローリングの一年~
- ハリー・ポッターはこうして生まれた
脚注[]
- ↑ J.K. Rowling Harvard Commencement Speech 2008年5月6日
外部リンク[]
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